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PET-CTのこと、 もっと知りたい!


本館北タワー完成に伴って大きく飛躍した当院の放射線診断・治療体制。
今回は、悪性腫瘍の診断を得意とするPET-CTについてご紹介します。

Q1:そもそもPET-CTってどんなもの?

PETとは、「Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)」の略称。放射能を含んだ薬剤を投与して、体内から出てくる放射線を特殊なカメラで撮影します。頭から足まで全身を一度に、短時間で調べることができます。
CTとは、「Computed Tomograhy(コンピュータ断層撮影法)」の略称。X線を使って体の断面を撮影し、さまざまな病巣を発見する検査です。
PET-CTは、PETでわかる「機能(体内のブドウ糖代謝)」と、CTでわかる臓器の「形」を重ね合わせた画像をつくれるため、より精度の高い診断を下すことができます。



Q2:どんな時に使うの?

がんや炎症の病巣を調べたり、腫瘍の大きさ・場所の特定、良性か悪性かの区別、転移や治療効果の判定、再発診断などに使われます。手術の方法を決定したり、放射線治療の範囲設定などに役立ちます。当院でも、悪性腫瘍を扱うさまざまな診療科が、「どのくらいの範囲で病気が広がっているか」を確認し治療方針を決定するためによく使っています。
現在の日本では、悪性腫瘍の治療時にPET-CTを受けるのがスタンダード。スムーズな検査はスムーズな治療につながります。全身を一度に撮影できるPET-CTだからこそ見つかる病気もあり、治療方針決定のためにも検査を受けていただくことをおすすめします。また、血液の悪性腫瘍では、治療の効果判定も保険診療適応。化学療法が終わった時に、どのくらい効果があったかの確認にも有効です。  
検査が必要とされる条件を満たせば、保険が適用されるケースがあります。詳しくは主治医と相談してお申込みください。

Q3:当院の機器の特長は?

新世代の半導体検出器を搭載した最上位機種「バイオグラフ ビジョン」を導入しています。従来に比べて短時間で高画質な画像が得られるようになり、これまでは10ミリ程度が限界とされていた病変検出も、5ミリ程度まで検出できるとされるのが最大の強みです。
検査台に寝た状態で入っていただく円筒形の機械で、内径が78センチと、体格が大きくてもゆったり感じられる設計。検査台はリニアモーター駆動でなめらかに動き、検査中にうとうとする人もいるほど静かです。眠ってしまっても検査に影響はありません。撮像範囲をミリ単位で決められるため、余分なところを撮ったり追加撮影が必要だったりということもなくなり、被ばく低減にも配慮しています。
なお、当院で使用している18F-FDGという薬剤は、放射線半減期が110分と非常に短く、また簡単に言うと「甘いブドウ糖に歯磨き粉などに入っているフッ素をくっつけた」薬なので、副作用のリスクが非常に低く、安全性の高い薬です。

Q4: 高松赤十字病院ならではの強みは?

最新機器を導入していることに加えて、現在、当院の放射線科は非常勤医師を含めた9人体制です。これは県内では大学病院に次ぐ規模であり、複数の画像診断医が相談して結論を出すことも多い画像診断の分野では、より早く・正確なレポートを出せる体制が整っていると言えるでしょう。
正確かつスピード感のある対応で主治医と連携し、「高松赤十字病院で検査を受けてよかった」と患者さんに思っていただける検査体制の充実を目指しています。

Q5: デメリットはあるの?

検査時に使う薬剤18F-FDGは胃の粘膜に集積しやすく、病気が見えにくいため、早期胃がんは保険診療の対象外です。保険診療が適応されていても〈18F-FDGが排泄されているだけなのか病変として集積しているのかが判断しづらい腎がん、尿管がん、膀胱がん〉〈集積するタイプとしないタイプがある肝細胞がん〉〈ごく細い管に薄くがん細胞ができるため見えにくい胆道がん〉などは比較的苦手とします。
ただし、これらのがんの場合でも、再発や遠隔転移については有用なケースがありますから、安心して検査を受けてください。

PET検診のご案内

一般的な職場検診や市町村検診は、悪性の病気だけでなく慢性的な疾患や生活習慣病などさまざまな項目を調べることができます。一方、PET-CT検診は悪性腫瘍の診断に特化した検査で、悪性腫瘍についてより詳しい診断を得意とします。目的に応じて、検診を使い分けましょう。
保険診療外ではありますが、自費でPET-CT検診を受けることも可能です。当院では、1週間で2枠、保険診療を行う時の保険点数を基準に11万円(税込)で承っています。検査エリアに入ってから退出するまで、約2時間半のスケジュールです。


【1】検査開始の6時間前

食事をやめ、ノンカロリーで糖分の入っていない水やお茶のみにする



【2】 検査室で看護師から質問・着替え

体調など気になることがあれば相談。着替えには鍵のかかる個室を用意



【3】 少量の18F-FDGを

2分ほどかけてゆっくり注射 注射後はリラックスできるソファで約1時間安静に。検査に不要な分の18F-FDGを早く排泄するために、なるべくたくさん水分をとる(当院ではペットボトルの水をご提供)。腎臓まわりの病気を見つけやすくし、被ばくを減らす効果がある



【4】検査室で20~25分かけて撮影

検査中のBGMなども工夫し、リラックスして検査できる環境に配慮



【5】 撮影した画像を複数スタッフで 確認できたら検査終了



趣味は多肉植物を巨大化させること。

放射線科 第三放射線科副部長

安賀 文俊(あが ふみとし)

2002年 大阪医科大学卒 関西で読影とPET検査を学び2010年にUターン、香川大学や香川労災病院を経て20年3月から高松赤十字病院。 「画像診断医は患者さんと直接話すことの少ない立場ですが、第2、第3の主治医のつもりで検査に向き合い、レポートを書いています!」


表紙

なんがでっきょんな

vol.68

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.68の表紙のひと

診療放射線技師

当院が誇る高精度のPET-CT室にて撮影を行いました。撮影中の雰囲気は非常に良く、仲の良さが素敵な笑顔から伝わってくると思います。若手ながら高度な検査や治療を担当する優秀な5人。真面目で仕事熱心、そして常に知識・技術の向上に励んでいると上司からの評価も非常に高く、お互いに切磋琢磨しながら頑張っている彼らです。