さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

なんがでっきょんな

働く人のこと病院のこと病気・治療のこと

当院の血管内治療~脳・心臓から末梢血管までトータルケア ~

2021年4月、総合血管治療センター(IVCC)内に新たに「血管治療科」がスタートしました。
従来以上に血管治療に力を入れていくとともに、末梢血管治療の啓発も進めていきます。

各専門医が連携し、最も適した治療を判断

当院の総合血管治療センターは、「脳神経外科」「心臓血管外科」「循環器内科」そして新設の「血管治療科」で構成されています。血管は全身に張り巡らされていて、血管の病気は全身に及び、治療法もさまざま。センターでは、血管内治療の専門知識を持つコメディカルや充実した設備とともに、同フロアに各科の専門医がそろい患者さんにベストな治療法を横断的に判断できるのが強みです。
解剖学的に内科的治療が難しいケースや重度の外傷などは外科的処置の成功率が高いこともありますが、患者さんにとってはカテーテルなどを使って血管の内側から処置するIVR(画像下治療)の方が体の負担が少なく、脳神経外科などでも治療法として採用するケースが増えています。

糖尿病大国日本では足の動脈疾患も多い
  

心臓や脳など命に直結する重要な血管を除く「末梢血管」の疾患予防と対症療法にも、カテーテルなどを使った血管内治療が有効です。手足をはじめとする末梢血管疾患の多くは動脈硬化が原因で、日本国内の人口の3%、糖尿病患者では5~6%が足に疾患があると言われます。
心臓などの命にかかわる血管疾患に比べ、手足の動脈硬化は「ちょっとだるい…」くらいの自覚症状で医者にかかることが少ないため、かなり進行してから受診する人が多く、まだまだ認知度の低い分野。従来の「循環器内科」では手足など末梢のイメージが薄く、手足の不調として外科が対応することも多かったことから、当院では血管治療科を通じた啓発にも取り組んでいく見通しです。

足の不調を放置せず全身の健康を守ろう

歩くと足が痛む、安静にしていても足が痛む、足の潰瘍や壊疽などの疾患においては、「末梢部分に血液がきちんと流れるようにする」ことで、楽に歩けたり傷が早く治ったりする効果が期待できます。糖尿病の患者さんには運動療法が重要ですが、足が痛いと動かすこと自体がストレスになって、結果的に重症化してしまうことも…。足を大切にケアする意識が、全身の健康にもつながるのです。

画像下の内科的治療では、血管内にワイヤーを通して患部で風船や足用ステントなどを広げ、血流を確保します。関節などの曲げる部位やよく動かす部位は金属を使うと破損するおそれもあるため、可能なかぎり風船での治療がメイン。心臓より足の方が血管が石灰化しやすく、カテーテルを通して圧をかけても風船では拡がらないケースもあり、動脈硬化を削る最新器具などを導入して治療のバリエーションを増やしていくのも今後の課題のひとつ。造影剤のアレルギーや副作用のリスク、血管を傷つけるリスク、吹き飛ばした血管内の詰まりが別の場所で梗塞を起こすリスク、全身麻酔ではないため姿勢を保てない人には施術が難しいといったデメリットもしっかり説明した上で、患者さん一人一人に合った適切な治療法を選択していきます。


たこ

外反母趾・うおのめ


水虫

爪の変形

足の疾患を放置すると、最悪の場合下肢切断も…







足は健康の要!こんな症状があったら要注意!


末端の不調には整形的な症状と血管由来の症状があります。しびれや姿勢による痛みは整形、歩くと足が重だるい・手足が冷たい・動かすとだるくて休むと治るといった症状は血管由来の可能性が考えられます。手の動脈硬化は首の太い血管が血流を支えていて足に比べると自覚しづらいものの、手を激しく動かすとめまいがするなどの場合もあります。
糖尿病や心臓疾患がある人、透析している人は特に要注意! 思い当たる症状があれば、すぐかかりつけ医を受診しましょう。

FFRCT解析で検査の負担をさらに軽減

CTで血管を描出すると細いところや狭くなっているところがわかりますが、血流が保たれていれば治療が必要ない場合もあります。以前は侵襲的なカテーテル検査で血流を調べていましたが、FFRCT解析を使えばCTで血流評価もでき、測定のためのカテーテル検査が必要なくなって、患者さんにとっては負担が減ります。
当院では2019年秋に県内で初めてFFRCT解析を導入しました。カテーテル検査に近似した測定能力が世界的に認められていて、一定の基準を満たし許可を得た施設のみで行える検査で、県内では当院を含め現在2医療機関のみで実施しています。撮影した画像を患者さんの同意を得た上で専用回線でアメリカに送って解析、5時間ほどで結果がわかりますから、症状が落ち着いている人にはより低侵襲でおすすめと言えるでしょう。急を要する場合は、従来の方法で検査・治療を行います。



血管治療科部長
多田 典弘(ただ のりひろ)

所属学会
・日本心臓病学会
・日本高血圧学会
・日本超音波学会
・日本不整脈学会

1995年金沢医科大学卒。オフの趣味はゴルフと映画鑑賞。
子どもの頃から「スター・ウォーズ」が好き。お気に入りの一作は「ザ・ロック」。


表紙

なんがでっきょんな

vol.67

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.67の表紙のひと

当院音楽部

~つづけよう音楽を つながろう音楽で つたえよう音楽に乗せて~        今回の表紙を飾ったのは、当院音楽部の皆さんです。実は当院には職員間のコミュニケーションを図ることを目的に、様々な部活が活動しています。そんな中、脳神経内科 荒木部長が音楽で職種や世代を超えた交流の場を作りたいといった思いから、新たに音楽部を立ち上げました。医師や看護師、事務など50名を超える多職種職員が入部し、先日には第1回演奏会を市内のライブハウスで行いました。ピアノやギター、トロンボーン、サックス…etcと、様々な楽器を持ち寄って好きなジャンルの演奏を楽しみ、大いに盛り上がったそうです。 表紙写真は、その第1回目演奏会に参加した部員の有志に集まってもらい、当院本館北タワー12階の瀬戸内海が見渡せる場所をバックに撮影しました。共通の趣味を通してすっかり仲良くなった部員たち。楽器を手に、リラックスした表情で撮影に臨む姿から言葉じゃなく音楽で絆が強く繋がっていることが伝わってきました。 撮影後、代表の荒木部長はこれからも定期的な演奏会や懇親会を予定しており、いつか来院者に向けて演奏する機会も設けたい、と語ってくれました。今後の音楽部の活動、ぜひ注目してください!