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病気・治療のこと

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を 正しく知ろう!

香川県は5月14日付で国の緊急事態宣言がひとまず解除されましたが、新型コロナ禍が終わったわけではありません。
正しい知識を持って、一人一人が予防と感染拡大防止に取り組みましょう。

※令和2年8月26日 一部更新しました


特 徴


Q:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)って?

A:コロナウイルスと呼ばれるウイルスはこれまでにも何種類か見つかっていますが、今世界的に流行しているのは、今まで報告されたどのタイプとも異なる新しいコロナウイルス(SARS-CoV2)です。このSARS-CoV2によって引き起こされる感染症を「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」と呼びます。

Q:潜伏期間は?

A:新型コロナウイルスの場合は1~14日(平均5.8日)と潜伏期間が長く、発症後1週間前後で重症化し始めるなど、病悩期間が長引く傾向もあります。

Q:主な症状は?

A:発熱や喉の痛み、鼻水、咳など普通の風邪とよく似ています。味やにおいを感じにくくなる場合もあります。一方では無症状や軽症で済み、新型コロナウイルス感染症に感染したことにすら気づかない人もいるでしょう。
風邪であれば3~4日後に症状のピークを迎えて快方に向かいますが、新型コロナウイルス感染症の場合は発症後1週間前後から高熱が出始め、肺炎を起こして重症化するケースも。こうした特徴ゆえに初期診断が難しく、症状が出始めてから診断まで8日程度を要します。

Q:死亡率は?

A:日本における推定死亡率は1~3%。一見少なく思えるかもしれませんが、100人に1~3人は死亡するという確率は、インフルエンザなどに比べても重い病気なのです。

Q:香川県内の感染状況は?

A:3/17感染1例目の患者が発生、4/14緊急事態宣言発令(5/14解除)、4/20までに累計陽性患者28人、5/15現在 入院2人、退院26人(PCR検査は約2200件実施)。
現在も散発的に患者が発生しています。
最新の情報は香川県のHPを参照していただくと同時に、マスク・手指消毒などによる感染対策をお願いします。


予 防


Q:どういう経路でうつるの?

A:一般的に、感染経路には「空気中を浮遊する病原体を吸い込んでうつる空気感染」「咳などで排出された病原体を含む飛沫を吸い込んでうつる飛沫感染」「病原体を触った手を介して体内に入る接触感染」の主に3経路があり、新型コロナウイルスの場合は飛沫感染と接触感染が中心です。


Q:飛沫感染を防ぐには?


A:咳やくしゃみなどの飛沫は、マスクをしていないと2m近く飛散します。うつされないためにも、自分がうつさないためにも、マスクをつけましょう。新型コロナウイルスが含まれる飛沫の粒子は一般的な不織布マスクで十分防げる大きさですから、日常生活で医療従事者用N95マスクほどの性能は必要ありません。


Q:接触感染を防ぐには?


A:新型コロナウイルスはアルコールに弱い特徴があるため、アルコール消毒や手洗いがとても重要です。ドアノブやキーボード、タッチパネルなどに触れた後はこまめに手洗い・消毒を心掛けましょう。


Q:感染しやすい人はいるの?


A:感染リスクは誰でも同じですが、持病があったり肺機能がもともと低下している人は免疫機能が弱っていて、感染した場合に重症化しやすい傾向があります。

治 療

Q:どんな治療を行うの?

A:薬でウイルスの増殖を抑え、免疫機能の回復を図ります。重症化した場合は、人工呼吸器や人工心肺で一時的に酸素を補いながら、体力と免疫機能の回復を支えます。
効果が期待できる治療薬の研究が進んでおり、現在治療薬候補として注目を集めているのは、ベクルリー(レムデシビル)とアビガン(ファビピラビル)です。
アビガンは中・軽症患者、ベクルリーは重症患者に使われる薬で、いずれもウイルスの増殖を抑えます。

Q:ワクチンはあるの?

A:ワクチンの開発と接種には数年単位の時間がかかると考えられます。ワクチンができないかぎり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を本当に克服したとは言えません。

Q:県内の医療機関の対応は?

A:県内の医療機関の対応状況ですが、8月11日に、香川県はそれまでの感染症指定医療機関を含む10病院(非公表)を重点医療機関に指定しました。またこれ以外に8医療機関を協力医療機関として指定しています。これらの医療機関に入院病床を185床確保するとともに、無症状者のために高松市内のホテルに101床の宿泊場所を準備しています。高松・丸亀のPCR検査センターも曜日が増えたり、対象地域が広がり、利用しやすくなってきています。また、新型コロナウイルス感染症が心配な無症状の妊婦さんに関しても、行政の負担で出産前にPCR検査(当院では抗原検査)を受けられるようになりますので、該当する方は担当の先生にお聞きください。


当院は感染症指定医療機関ではないため新型コロナウイルス感染症専門外来は設置していませんが、指定医療機関への協力体制を整えるとともに、職員のマスク着用・設備の消毒を徹底し、外来受付にはビニールカーテンを設置するなど、院内感染防止に努めています。新型コロナウイルス感染症の可能性を考慮した問診も行っているほか、患者さんや面会の方には以下のご協力をお願いしています。


今回のコロナ禍をきっかけに、従来の「直接お見舞いに行くのが礼儀」という考え方を見直すのもいいのではないでしょうか。病院にいるのは、怪我や病気の治療を行うために入院しておられる人たちです。治療に集中し、リスクをできるかぎり減らすためにも、これからはご家族やオンラインツールなどを通じてお見舞いの心を伝えるスタイルが定着すればいいですね。


人口全体で考えると新型コロナウイルス感染症感染者の割合はまだ低く、一度感染して回復した人も免疫があるとは限らない状況です。流行に季節性はなく、人の交流が増えるにつれて感染拡大のリスクも高まるでしょう。第2、第3の感染の波は確実にやってくると言われています。手洗いの徹底とマスクの適切な着用および人との接触の自粛は、新型コロナウイルス感染症以外の感染症対策としても有効ですから、ぜひ習慣として続けていきましょう!

副院長(第一血液内科部長) 院内感染対策室長 大西 宏明 (おおにしひろあき)

最新の情報に関しては HPあるいは院内掲示をご覧ください。
疑わしい症状が出た時は、来院前に香川県新型コロナウイルス
健康相談コールセンターにご相談ください。
感染が疑われる場合や感染予防・感染症の疑問、不安などの相談を受け付けています。
〈専用ナビダイヤル〉 tel:0570-087-550(24時間対応)


表紙

なんがでっきょんな

vol.68

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.68の表紙のひと

診療放射線技師

当院が誇る高精度のPET-CT室にて撮影を行いました。撮影中の雰囲気は非常に良く、仲の良さが素敵な笑顔から伝わってくると思います。若手ながら高度な検査や治療を担当する優秀な5人。真面目で仕事熱心、そして常に知識・技術の向上に励んでいると上司からの評価も非常に高く、お互いに切磋琢磨しながら頑張っている彼らです。