さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

なんがでっきょんな

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状態に合わせた治療法を提案  -外反母趾-

足は約26個の骨とそれをつなぐ関節で構成され多彩でなめらかな動きができる半面、日々さまざまな負荷を受け止める重要な運動器です。
特に近年は生活様式の変化や高齢化、スポーツの普及などが進み、足の疾患も増加傾向。
当院では最新の治療機器や低侵襲な手術を積極的に採用し患者さんの足の健康を守っています。

状態に合わせた治療法を提案 外反母趾


65歳以上の約4割が抱えているという、非常にポピュラーな足の病気。中年期の女性に多い傾向があり、先の細い靴やハイヒールを履く習慣が影響しているともいわれます。足の親指(母趾)の先が人差し指に向かって「く」の字に曲がり、足の親指の付け根が突き出すように変形するのが特徴。バランスがとりにくくなるほか、ひどくなると痛みが出て歩きづらくなることもあります。特に転倒リスクの高まる高齢者は早期の治療が重要です。


ハイヒールなど足への負担が高い靴を履いて足の親指の付け根に圧力がかかると、足の親指を小指側に曲げるための「母趾内転筋」と親指を開くための「母趾外転筋」のバランスが崩れて変形が起きた状態が外反母趾です。


治療


治療は、装具の使用と手術、大きく二つの方法があります。装具を使う場合は足の親指と人差し指にはさむタイプやインソールで矯正するほか、変形がひどい場合は足型をとってオーダーメイドで靴型装具をつくる場合も。痛みが強く機能障害を起こすほど重度の変形は、「矯正骨切り術」「関節固定術」などで変形した部分を整えたり、負荷の軽減を目指します。
放置して変形が進むと、足だけでなく全身に影響が及ぶ場合も。早めに医療機関を受診し、適切なケアを受けましょう。


①装具の使用

足の親指と人差し指をしっかり引き離すタイプの装具。変形の矯正や痛みの軽減効果が期待できます。


②手術

「矯正骨切り術」の例。変形した部分の骨を切って形を整え金属で固定。外反母趾の手術は一人一人の症状に合わせて行うため、術式は多岐にわたります。


日常生活でもできるケア



海外最先端の知見を当院で生かしたい


整形外科・リハビリテーション科 副部長
殿谷 一朗(とのがいいちろう)

   

2022年に当院に着任する以前、2015年から1年半ほど、アメリカでトップレベルの整形外科病院といわれるニューヨークの「Hospital for Special Surgery(HSS)」に留学しました。2023年には、整形外科関連の英語論文の数とその内容を評価され、光栄にも難関のトラベリングフェローに選ばれて6月に3週間ほどアメリカ・西海岸の5都市6医療機関を訪問。こうしたアメリカでの経験と、そこで目の当たりにした最先端の治療法は、私にとって貴重な知見となりました。体外衝撃波治療装置を初めて見た時も、当時は一体何をしているのかまったくわからず、治療の進歩に驚いたものです。足の外科の分野ではまだまだ発展途上の香川で、研究が進む海外で学んだ最新の技術や知識を、地域の患者さんのためにしっかり生かしたいと思っています。
足の病気は発生要因をきちんと突き止め、それを解決するのが重要です。足の構造を熟知し、足から全身を考えることができるのが「良い足の外科医」と言えるでしょう。足のトラブルは放置せず、気軽に医師に相談してください。


当院の受診には紹介状が必要です。診察をご希望される場合は、かかりつけ医にご相談の上で整形外科外来へお問い合わせください。
電話番号:087-831-7101(代表)


表紙

なんがでっきょんな

vol.68

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.68の表紙のひと

診療放射線技師

当院が誇る高精度のPET-CT室にて撮影を行いました。撮影中の雰囲気は非常に良く、仲の良さが素敵な笑顔から伝わってくると思います。若手ながら高度な検査や治療を担当する優秀な5人。真面目で仕事熱心、そして常に知識・技術の向上に励んでいると上司からの評価も非常に高く、お互いに切磋琢磨しながら頑張っている彼らです。