さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

なんがでっきょんな

病気・治療のこと

最新機器で進化する治療 脳血管内治療最前線

昨年4月に導入した新しいIVR-CTは、血管撮影装置とCTシステムを併載し、全身の血管病変や悪性疾患を血管内から治療できる装置。現状トップレベルの解像度を誇る最新鋭機器で、当院の脳血管内治療も大きく飛躍しました。

正確な診断で最善の治療を

脳血管障害とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳機能に障害が起きる病気で、脳卒中とも呼ばれます。脳血管が詰まる脳梗塞、脳血管が破れる脳出血やくも膜下出血などいくつか種類があり、症状や患者さんの状態によって、カテーテルによる治療から開頭術まで治療法もさまざま。正確な診断を速やかに行い、一番良い治療法を選択することが大切です。


脳血管内治療は、足の付け根などから血管にカテーテルを挿入し、血管内を通して病変部の処置を行うもの。脳への侵襲性が高い開頭術に比べて、脳を直接さわることがないため患者さんの身体的負担が少ないのが特長。脳血管内治療でしか対応できない疾患から他の治療をサポートするために行う処置まで、さまざまな脳神経外科疾患に対する治療が可能です。

鮮明な画像で精緻な処置が可能に

以前と大きく変わったのは、最新の血管撮影装置の導入で、解像度が高く鮮明な画像が得られるようになったこと。0.01ミリレベルで正確な計測ができるため、脳動脈瘤や脳血管病変などが確実に処置できます。以前は外部の病院に依頼していた治療もすべて当院内で行えるようになりました。一分一秒を争う緊急の場合には、血管撮影装置を優先的に使用できるため、すぐに血管内治療が行えるなど、体制的にも充実し、今まで以上に安全かつ確実で迅速な治療に貢献しています。

脳血管内治療が活躍する主な疾患

①脳動脈瘤

カテーテルを使ってくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤をコイルで閉塞し、破裂を予防する治療です。

②急性期脳梗塞に対する血行再建術

脳血管に詰まっている血栓をカテーテルやステントリトリーバーという器材で吸引・回収し、閉塞した血管を再開通させる方法です。

③頚動脈狭窄症に対するステント留置術

頚部の血管が狭くなり、脳梗塞となるリスクがある場合、ステントという金網で拡張する方法です。

④硬膜動静脈瘻

頭蓋内の動脈と静脈がいろいろな形で直接つながり(シャント)、脳出血や脳梗塞などを起こす疾患です。血管内からシャントを閉塞して治療します。

チーム医療が支える24時間体制

2020年3月からの約1年間で、当院の脳神経外科で行った脳血管内治療は46例で(外科的な直達手術は105例)、日本脳神経血管内治療学会の研修施設および日本脳卒中学会の認定する一次脳卒中センターの認定条件を達成しました。専門医や指導医の資格を持つ3人を含め、4人の脳神経外科医が揃い、脳卒中の救急患者さんにもすぐに対応できます。脳外科医が当直していなくても、当直医師から検査画像をタブレットで受け取り、当直医師が初期対応している間に病院に駆けつけて専門的な治療を行えます。


こうした体制を支えているのは、ICU・HCUなど重症患者を重点的に治療できる環境と、治療機器に精通した放射線技師をはじめとするコメディカルスタッフたち。病院一丸で治療に当たるチーム医療の強みが、ここでも発揮されています。

こんな症状が現れたら脳卒中のサイン!


脳血管障害の症状は、脳に障害が起きたり、一時的に脳機能が低下することで起こります。こんな症状が出た時は、たとえすぐに治まった場合でも、すぐ医療機関に連絡しましょう!

 

 


脳神経外科副部長
新堂 敦(しんどう・あつし)

・日本脳神経血管内治療学会指導医
・日本脳卒中学会指導医
・日本脳卒中の外科学会技術指導医
・日本脳神経外科学会専門医

1995年香川医科大卒。国立循環器病センター、香川大学医学部附属病院学内講師などを経て、2020年3月から当院へ。中学からテニスを続け、コロナ禍以前は日赤テニス部でのプレーや週1回のスクールを楽しんでいた。趣味はスポーツ観戦、カマタマーレ讃岐の熱いサポーター。


表紙

なんがでっきょんな

vol.57

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。

Take Free!

Columnvol.57の表紙のひと

令和3年4月 ヘリポート運用開始

当院本館北タワー屋上に設けているヘリポートを令和3年4月より運用しています。表紙の写真は、運用に向けた訓練の模様です。離島からのヘリ搬送は一旦、他の場外離発着場に着陸→救急車で当院に運ばれていました。ですが、当院ヘリポートへダイレクトに搬送されることにより移送時間が10分程度短縮可能となりました。運用開始後の1カ月半の期間、3回の緊急搬送を受け入れています。今後、ヘリポートを活用して更なる救急医療体制の向上と災害拠点病院としての機能拡充を目指し、県民のいのちと安全をより一層守っていきます。(広報委員会 事務局)