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体の負担が少ない治療へ  IMRTが本格始動!


本館北タワー開設から1年。今年4月、当院は強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)認定施設となりました。IMRTとは、放射線の強さを調節し、正常な組織への影響を抑えつつ、がんの複雑な形に合わせて病変部のみに放射線を照射する画期的な治療法です。

緻密な放射線照射で副作用をさらに少なく

がんの治療には根治を目指すものと症状の緩和を目指すものがあり、「手術」「薬物療法」「放射線治療」が治療の三本柱と言われています。早期に見つかった小さいがんは手術で、全身に転移している場合は薬物療法で治療を行うことが多く、手術ができない場合や転移したがんの局所的な痛みには放射線治療が有効です。より高い効果を期待できる場合は、治療法を組み合わせて行うこともあります。根治を目指すか緩和療法を目指すか、どのような治療法を採用するかは、それぞれの患者さんの状態や意向を踏まえ、主治医と相談した上で決定します。

手術はがんを切って完全に取り除くことが可能ですが、一方で体の負担が大きく、臓器を丸ごと摘出しなければならないケースもあり、転移が進んでいると手術では根治が難しくなります。薬物療法は全身に効果を及ぼすことができますが、副作用も全身に及ぶため、こちらも体の負担は大きくなりがちです。
放射線治療は、手術のようにがんを完全に死滅させることは難しい半面、臓器の機能をある程度温存でき、放射線を照射する部位以外に及ぼす影響も少なく、体の負担が小さいことがメリット。正常組織に障害を起こさず痛みなどの症状を和らげる緩和療法も得意とするところです。特に近年の放射線治療は、画像診断装置と一体化し、より高い精度で効果的に照射しつつ、副作用を軽減する技術が進んでいます。

当院の治療例の1/3がIMRTを使用


脳腫瘍に対するVMATを使った定位放射線治療
3個の結節に同時照射しており
図では2個の結節が確認できる

治療用放射線にはX線、ガンマ線、電子線、陽子線、重粒子線などさまざまな種類があり、当院ではX線と電子線が使われています。本館北タワー完成に伴ってリニューアルした放射線治療装置は、これまでも電子線照射、全身照射などさまざまな治療に活躍してきましたが、2021年4月に施設認定を受けて以降は、より高精度なIMRT、定位放射線治療なども行えるようになりました。年間250件程度の放射線治療を手掛けていて、現在IMRTでの治療例が3分の1を占めます。

放射線治療は、現在のところ体の外から放射線をあてる外部照射がほとんど。定位放射線治療やIMRTも外部照射に含まれます。定位放射線治療は小さい腫瘍に多方向から放射線を集中させる治療法で、ピンポイント照射とも呼ばれます。IMRTは、悪性腫瘍には高線量が、近接した正常な組織には低い線量がかかるように放射線を照射する治療法。転移などをしていない限局したがんが適応となります。回転させながら行う「強度変調回転放射線治療(VMAT)」という方法も、IMRTの一つです。いずれも治療装置に付随したコーンビームCTなどの画像診断装置を用い、照射の際の正確な位置決めやズレを補正する技術(IGRT)に支えられています。

線量や範囲を微調整し、効率的な照射が可能に

従来法では一定量の放射線が均一にあたるため、がんも周囲の正常組織も同様なダメージを受けてしまい、副作用が出やすいデメリットがありました。IMRTは専用のコンピュータで計算した治療計画に基づき、放射線をあてる範囲や線量の強さを細かく調節し、正常組織になるべくあたらないようにしつつ、多方向からがんに集中するように照射します。正常組織への副作用が治療のリミットとなる放射線治療においては、よりたくさんの線量を照射できることになり、高い治療効果が期待できるのが特長です。照射中の患者さんの体の動きを1ミリ以下に抑える固定具や、呼吸によって変動する病変部の位置を的確にとらえ、所定の範囲に入った時のみに照射を行う呼吸同期法も導入し、より高精度な照射を追求しています。

実際の治療は、主治医と連携しながら放射線治療医が作成した照射計画に基づき、診療放射線技師が十分に計画を検証した上で行います。1回で終わるケースから2カ月程度まで、治療期間は患者さんによってさまざまですが、計画通りにきちんと治療を続けることが重要です。

放射線治療期間中は、身体的・心理的な悩みや不安を受け止め、できるかぎりいつも通りの社会生活が送られるように患者さんを支えるがん放射線療法看護認定看護師をはじめ、チーム一丸で治療をサポートし、患者さんが安全・安楽に治療を受けられる環境の確立に努めています。

コンピュータの進化によって、従来は数日がかりだった治療計画の作成も数時間以内まで短縮されました。今後とも最新情報を踏まえ、新しい治療法などを積極的に取り入れていく予定です。



(写真右から)
放射線治療専門放射線技師
放射線治療品質管理士
藤原 直人(ふじはらなおと)

第二放射線科部長
日本医学放射線学会専門医(放射線治療)
竹治 励(たけじはげみ)

がん放射線療法看護
認定看護師
長井 美和(ながいみわ)

放射線治療専門放射線技師
医学物理士
山花 大典(やまはなだいすけ)


表紙

なんがでっきょんな

vol.58

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。

Take Free!

Columnvol.58の表紙のひと

1年目初期研修医

今回の表紙は久しぶりの職員集合写真です!1年目の初期研修医10人が集まり、本館北タワー4階にある手術室で撮影を行いました(撮影時のみマスクを外しています)。 医師への第一歩をコロナ禍という状況で進みだした研修医たち。医療従事者にとって過酷な環境下ではありますが、当院院長の信念である『ペイシェントファースト』の言葉を胸に刻んで、毎日奮闘中です! 院内でみかけたら、ぜひエールを送ってくださいね。