さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

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乳がん検診を より正確に、快適に -乳がん検診の検査機器を更新しましたー

マンモグラフィ検査も乳腺エコー検査もそれぞれ長所と短所があり、
併用することでより正確な診断が可能になります。
当院では、どちらの検査もすべて女性技師が対応。
技術向上や問題解決に努めるのはもちろん、
患者さんによりよい検査を提供できるよう一丸となって取り組んでいます。

3Dでより精密な診断も可能に   マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査は、乳房専用のレントゲン検査です。がんの疑いがある小さな石灰化を見つけることができ、早期発見に大きく貢献します。当院では検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師の資格を持つ6人の女性技師が、年間2000名以上の撮影に携わっています。
2021年9月には、3Dマンモグラフィ装置を新しく導入しました。今までは一回の圧迫で1枚の画像でしたが、一回の圧迫で連続的に複数の位置から撮影できるようになり、その画像を再構成することで1mm間隔の情報を得られるようになりました。見たいところに焦点をより合わせることができるため、更に精密な検査が必要と医師が診断した場合に3Dマンモグラフィでの検査を行います。
マンモグラフィで撮影するとがん細胞は白く写りますが、乳房を構成する乳腺組織も白く写り込むため、乳腺組織が多い「高濃度乳腺」タイプの人は病変を見つけにくいのが従来のマンモグラフィ検査の短所でした。しかし3Dマンモグラフィは、今まで腫瘍なのか乳腺の重なりなのか区別しづらかった高濃度乳腺でも、より正確に診断できます。新装置での被ばく線量は、2D撮影に3D撮影を追加しても、従来の2D撮影とほぼ変わりません。


2Dマンモグラフィの画像(左)と3Dマンモグラフィで撮影した画像(右)。丸く囲った部分を比較すると、これまでは乳腺組織と判別しづらかった腫瘍が、3Dマンモグラフィでは鮮明に描出されていることがわかります


一般的に「マンモグラフィ検査は痛い」というイメージを持つ人が多く、実際に乳房を圧迫するため痛みを伴うことは事実ですが、新装置は検査に必要な厚みまで圧迫した状態を保ちつつ、強い圧迫感だけを緩められる制御機能が新しく搭載されています。キティちゃんをあしらったデザインも、心を和ませるポイント。もちろん、検査室で音楽を流したり、声掛けをしたりと、なるべくリラックスして検査を受けられる体制も引き続き行っていきます。


撮影室に入り、上半身を脱衣。装置の圧迫板で乳房を挟み、撮影。複数の角度で撮影する(約15分)

新しく導入した3Dマンモグラフィ装置。より高精度な検査ができるだけでなく、受検者のストレスを軽減する機能も搭載

         


放射線科係長
検診マンモグラフィ
撮影認定放射線技師
藤田かおり(ふじたかおり)

「思いやりと笑顔」をモットーに、1997年の入職当初から高松赤十字病院で勤務。「マンモグラフィ検査は、触知だけではわからない病変を見つける大切な検査の一つです。不安なことは何でも聞いてくださいね」。

高濃度乳腺でも威力を発揮   乳腺エコー検査


マンモグラフィには写らず、エコー検査で見つかったがん

乳腺エコー検査は、超音波診断装置を使って乳腺に超音波をあて、はね返ってくる反射波を画像化します。検査では、機器と皮膚の間の空気を排除して滑りをよくするエコーゼリーを塗り、背中にタオルを入れ、両腕を上げて胸を平らにした状態で走査します。
痛みなどはまったく伴わず、検査を受ける時の負担が軽いのが長所の一つ。小さな石灰化を見つけにくい短所はありますが、マンモグラフィ検査が苦手とする高濃度乳腺でもがんを見つけやすく、被ばくのリスクがないため妊娠中などでも安心して検査を受けられます。
乳腺エコー検査でみつかる病気は乳がんの他にもあります。乳腺内に生じる液体が溜まった袋である「乳腺のう胞」や、乳腺と周囲の線維が増殖して弾力のあるしこりができる「乳腺線維腺腫」などの良性腫瘍が見つかる頻度が特に多いです。その他にも乳腺に細菌が感染して膿瘍をつくる「乳腺炎」などが挙げられます。良性で特に治療がいらない場合もあれば、精密検査が必要な場合もありますから、詳しくは医師の指示に従いましょう。
当院での乳腺エコー検査は例年1500件以上にのぼり、担当するのは臨床検査技師と診療放射線技師で、すべて女性スタッフです。撮影した画像は必ず医師が確認し、マンモグラフィ検査など他の検査を受けた場合はそちらの結果も踏まえた上で診断するため、検査中に結果をお伝えすることはできませんが、医師の画像確認には技師も立ち会うほか、医師と技師のカンファレンスも定期的に行っています。
学会や研修会に積極的に参加したり、日本乳がん検診精度管理中央機構が実施する超音波講習や評価試験を受講したり、日本超音波医学会認定の超音波検査士の資格を取得するなど、技術の向上に熱心な風土も、当院の特長です。


検査室に入り、上半身を脱衣。脇の下から鎖骨、肋骨の下あたりまで広範囲にゼリーを塗る。仰向けの状態で、縦横2方向以上往復しながら走査。ホットタオルでゼリーを拭き取って終了(約15分)

腹部エコー用(左)と乳腺エコー用(右)のプローブ。乳腺用は肌に当てる部分がフラットで、腹部より浅いところを鮮明に見るため高周波を使います


                                                                                                 


超音波診療センター係長
臨床検査技師・超音波検査士
横井 靖世(よこいやすよ)

2001年入職、5年前から高松赤十字病院勤務。「乳腺エコーは必ず女性技師が対応するため少しお待たせすることもあるかもしれませんが、検査に臨む皆さんの不安が少しでも和らぐよう、精一杯努めます」。

検査室の感染症対策も徹底しています


コロナ禍の影響で医療機関の受診を控える傾向も見られますが、万が一乳がんを発症していた場合、長期間放置している間に進行し、周囲の健康な細胞に広がったり、他の臓器に転移したりするリスクがどんどん高くなってしまいます。
当院ではできるだけ安心して検診を受けていただけるよう、検査を行うたびに装置のこまめな消毒を行い、スタッフをはじめ検査室周辺の感染症対策も徹底して行っています。なるべく先延ばしにせず、定期的な検診で、一緒に早期発見に努めていきましょう。


表紙

なんがでっきょんな

vol.68

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.68の表紙のひと

診療放射線技師

当院が誇る高精度のPET-CT室にて撮影を行いました。撮影中の雰囲気は非常に良く、仲の良さが素敵な笑顔から伝わってくると思います。若手ながら高度な検査や治療を担当する優秀な5人。真面目で仕事熱心、そして常に知識・技術の向上に励んでいると上司からの評価も非常に高く、お互いに切磋琢磨しながら頑張っている彼らです。