がんゲノムとは「がん細胞の遺伝情報全体」を意味しています。近年では、このがんゲノムの異常を検査し、その結果をもとに患者さん一人ひとりに合った治療が行われています。今回のコラムでは、がんに関与する遺伝子やその検査について簡単に紹介します。
がんの発生に関与する遺伝子には、主に以下の2種類があります。細胞を増殖させるアクセルのような役割を持つ遺伝子に異常をきたすと、アクセルが踏まれたままの状態になることが知られています。このような遺伝子は「がん遺伝子」と呼ばれ、代表的なものに「RAS遺伝子」、「ALK融合遺伝子」があります。それとは逆に、細胞増殖を停止させるブレーキのような役割を持つ遺伝子は「がん抑制遺伝子」と呼ばれ、この遺伝子に異常をきたすとブレーキが利かない状態になることが知られています。代表的なものに「p53遺伝子」、「RB遺伝子」などがあります。その他にも、遺伝子に異常はなくても、その働きを制御する仕組みに異常があるとがんの発生に関与することがわかっています。
上記の検査には、単一から複数の遺伝子を検査する「コンパニオン診断」や数百の遺伝子を広範囲に検査する「がん遺伝子パネル検査」があります。それらの検査には患者さんから採取した組織や血液を使用しています。精度の高い検査を実施するためには、高品質の核酸(DNAやRNA)が必要となります。そこで、検査室では良質の核酸を効率よく得るために検体保管の温度や時間を管理し、がん細胞だけを選択的に回収するなどの様々な取り組みがなされています。
上記の検査には、単一から複数の遺伝子を検査する「コンパニオン診断」や数百の遺伝子を広範囲に検査する「がん遺伝子パネル検査」があります。それらの検査には患者さんから採取した組織や血液を使用しています。精度の高い検査を実施するためには、高品質の核酸(DNAやRNA)が必要となります。そこで、検査室では良質の核酸を効率よく得るために検体保管の温度や時間を管理し、がん細胞だけを選択的に回収するなどの様々な取り組みがなされています。