さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

なんがでっきょんな

働く人のこと病院のこと

―創立115周年を迎えて― 思い新たに、地域医療のさらなる充実へ

2023年6月 グランドオープン完成予想図


これまでも、これからも、地域に「」の病院です


当院は1907(明治40)年に日本赤十字社香川支部病院として創立された、全国で6番目、四国では初の赤十字病院です。当時から変わることなく、高松市中心市街に位置するこの場所で地域医療の中核を担い、高度・専門的医療と安全・安心な質の高い医療の提供とともに、災害時の医療救護活動などにも貢献し続けてきました。

今年は創立115周年。地域とともに歩んできた歴史に、また新たなページを刻もうとしています。

来夏グランドオープン    駐車場も80台増設

老朽化した建物の刷新と耐震化のため、大規模な建て替え構想がスタートして約10年。2014年の中央診療棟に続いて20年4月には本館北タワーが完成し、機器や設備も一大リニューアルしました。本来であればそこで大々的にお披露目をするつもりが、直前にコロナ禍が本格化してしまい、その後の旧管理棟・旧南館の解体工事も1年以上繰り下がっています。とはいえ、COVID-19対応への体制切り替えに奔走していた際、解体予定の建物に十分な設備が残っていたため、そのままコロナ患者さんの隔離棟として使うことができたのはせめてもの幸いでした。

現在のところ工事は順調で、2023年6月にはすべての工事が完了する見通しです。グランドオープン後は、約80台の平面駐車場が増え、身障者用駐車場も建物のすぐ側にできて、患者さんの利便性が大幅に向上することでしょう。
当院は災害時に地域で被災した傷病者を受け入れる災害拠点病院であるため、本館北タワー新設当時から、非常用電源が水没しないよう11階に移設し、外部から引き込む電力を2系統に分けて停電のリスクを低減するなどの災害対策を行ってきました。今回はそれに加えて、停電時の非常電源を動かすためのオイルタンクを新設。3日間非常電源だけでも耐えられる量の石油を備蓄します。コロナ禍の経験も踏まえ、平面駐車場の下には電気や排水の配管を通して、パンデミックが発生した場合に2~3週間以内にプレハブを設置・使用開始できる体制も整えています。

今まで以上に患者さんが利用しやすく、災害にも強い病院へと、さらに進化する来夏の当院に、どうぞご期待ください。

ハードとソフトの両輪でさらなる体制充実を!

建物や設備が病院機能を支えるハードだとすれば、ソフトは「人」です。当院は近年とみに研修医や看護師の間で人気の高い医療機関の一つで、全国から優秀な人材が集まっています。10年前に比べると医師数は3割程度増え、若手を中心に院内全体が活気づきました。整った設備と豊富な症例、指導医やコメディカルが丁寧に教え導く体制、新しい挑戦に積極的な風土など、人気の理由はさまざまですが、特に当院スタッフや実習生の口コミを通じて来てくれる人が多いのはうれしいですね。私も、実習に来た学生たちと直接対話する時間を必ず設けるようにしています。4月から働き方改革推進室を設け、医療者が働きやすい環境づくりも少しずつ進めているところ。どんな優れたハードも、それを使いこなす人間次第ですから、人材教育と働く環境の整備には今後とも力を入れてまいります。  

当院は2018年から、全国の急性期病院を「大学病院本院群」「DPC特定病院群」「DPC標準病院群」の3つに分ける分類において、大学病院に準ずる診療機能を備えた高機能な「DPC特定病院群」に指定されています。全国で181医療機関、香川では当院と県立中央病院のみです。

地域の急性期・高度急性期医療を担う中核として、救急車の受け入れ体制を整備し、2021年は約4000台を受け入れました。これは過去最高かつ近隣の医療機関でもトップクラスの対応実績です。しかし、それでも応需できなかった要請もあり、体制の充実を図っていかなければならないと感じるところです。救急体制だけでなく、一人一人の患者さんを迅速かつ的確に治療して、地域の医療機関や自宅療養へスムーズにつなげていくマネジメント力も高めていきたいと考えています。

公的医療機関として地域医療に貢献することはもとより、赤十字病院の特色を生かし、医療救護や地域の皆さまを対象とした健康や病気に関する啓発活動、医療相談など多様な活動を行っています。特に、これまでがん患者さんを中心に対応してきた相談窓口の対象を、今後は脳卒中や循環器系の患者さんにも広げていく予定です。来院者向けに看護師が担当する「知って得するミニ講座」、ことでん瓦町駅ビルで月1回開講している公開講座「健康講話十二講」などの詳細についても、当院ホームページで掲載していますから、ぜひご確認、ご参加ください。

当院を愛してくださる皆さまの思いを大切にしながら、120周年の節目に向けて、一層地域医療の充実に努めてまいります。これまでも、これからも、地域に「(プラス)」、そしてあなたに「(プラス)」の病院を目指します。


高松赤十字病院 院長 西村 和修(にしむら かずのぶ)
日本外科学会専門医/三学会構成心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医/日本循環器学会専門医/日本外科学会指導医/日本胸部外科学会指導医/日本心臓血管外科特別会員/日本人工臓器学会特別会員


表紙

なんがでっきょんな

vol.68

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.68の表紙のひと

診療放射線技師

当院が誇る高精度のPET-CT室にて撮影を行いました。撮影中の雰囲気は非常に良く、仲の良さが素敵な笑顔から伝わってくると思います。若手ながら高度な検査や治療を担当する優秀な5人。真面目で仕事熱心、そして常に知識・技術の向上に励んでいると上司からの評価も非常に高く、お互いに切磋琢磨しながら頑張っている彼らです。