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病気・治療のこと

変形性膝関節症の治療


膝の痛みは、日常生活にストレスがかかるもの。
変形性膝関節症の治療は痛みや変形の緩和を中心に生活の質の向上を目指します。

原因


膝関節は、大腿骨(もも)・脛骨(すね)・膝蓋骨(膝の皿)が靭帯や筋肉でつながっています。大腿骨と脛骨は膝関節の「内顆」「外顆」と呼ばれる二つの関節面でつながり、大腿骨の前面と膝蓋骨の境にも関節面があります。これらの関節面は軟骨で覆われ、軟骨が衝撃を緩和するクッションの役割を果たすことで弾力を保っています。
この軟骨が少しずつすり減って、硬い骨がむき出しになり、骨同士が直接当たるようになって次第に変形していくのが変形性膝関節症です。変形が進むと痛みが出る・膝が曲がらない・ぐらぐらする・O脚になるといった症状が出ます。半月板や膝靭帯の損傷、骨折といった外傷に由来する場合もありますが、ほとんどは加齢によるもので、肥満体形の中高年者(特に女性)に多く見られます。

治療

保存療法

減量などの日常生活指導、大腿を鍛える運動、専用の装具などで膝の負担を総合的に軽減。痛みが強ければ痛み止めの飲み薬や注射などの薬物療法を行います。

日常生活指導  減量、冷えの予防、洋式トイレやベッドの使用
運動療法    膝関節周辺の筋トレや有酸素運動、椅子に座ってできるストレッチなど
装具療法    専用装具で膝の保護や変形した脚の矯正をサポート
薬物療法    鎮痛内服薬、湿布や軟膏など外用薬、痛み止めや関節液の注射

手術療法

あまりに痛みがひどく生活に支障をきたす場合は、患者さんの状態や希望に応じて手術を行います。関節機能を残す「関節温存術」と、傷んだ関節面を削って金属でできた人工関節に入れ替える「人工膝関節置換術」があり、CORIが活躍するのは人工膝関節置換術。翌日からリハビリを開始します。手術前の膝の状態や年齢にもよりますが、術後1~2週間で歩行器なしで歩けるようになり、リハビリが可能な病院への転院や退院が目安となります。

関節の軟骨は車のタイヤのようなもので、すり減る一方の消耗品です。薬などで痛みをやわらげることはできても、すり減った軟骨を元に戻すことは現在の医学では難しく、なるべく早めに治療を始めましょう

手術療法(人口膝関節置換術)

人工膝関節単顆置換術(UKA)

痛んだ部分を内側または外側の半分だけ人工関節に入れ替える手術。膝の感覚を残し、術前の状態によっては正座ができることもある。ロボットの支援により自分の骨の形状をできるだけ変えずに手術を行うことが可能。全置換術より侵襲が少なく回復が早い。


人工膝関節全置換術(TKA)

膝関節をまるごと人工関節に入れ替える手術。患者さんの7割ほどは、靭帯機能を組み込んだ機種を使用する。変形が関節全体に及ぶ進行例が対象。

日常動作やウォーキングはほぼ支障なく行えるようになる。


手術支援ロボットCORIの強み

骨切除の精度が高い
目標角度から2度以上ズレる確率が2~8%程度に抑えられ、従来の方法よりも高い精度で骨を切除できる。
靱帯バランスを事前にシミュレーション・調整
患者さんの骨の形を読み込み、画面上で人工関節を設置してみて術後の靱帯バランスなどを細かくシミュレーションし、実際の手術前に計画を修正できる。
骨形状を3次元的に把握
患者さんの骨の形に対して人工関節がどのような位置に設置されているかを立体的に確認し、人間の目では難しい0.1ミリ・0.5度単位の精度で微調整できる。
④手術過程の記録
どのような手術が行われたかを数値化してすべて記録。術後成績との比較などで、さらなる精度向上に活用できる

3次元手術計画ソフトの強み

当院に導入しているCORIは術前の画像撮影を必要としないタイプですが、より高精度で安全な手術を行うため、あらかじめ撮影したCT画像と3次元手術計画ソフトを使って詳細な手術計画を立てています。

手術療法(関節温存術)

関節鏡視下デブリドマン

関節鏡を使って、半月板などの変形・断裂した部分を除去する手術。初期の症状が対象。

高位脛骨骨切り術

骨を切って脚の向きを少しだけ変えて金属で固定し、荷重を健常部に分散するよう調整する手術。靭帯が正常で、50~60歳代の比較的若年層の活動性の高い患者さんが主な対象。


第二整形外科 浜田 大輔(はまだだいすけ)
「ロボットやソフトはあくまで『支援』であり、ロボットをどう使ってどんな手術をするか、どういう膝にするのかは医師の考え方と技術次第。ここで治療してよかった!と患者さんに喜ばれる治療を目指します」

人工関節膝関節置換術のお問い合わせについて

「人工膝関節置換術」のお問い合わせについては、整形外科外来までご連絡ください。
TEL:087-831-7101(代表)

医療機関の皆さまへ
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表紙

なんがでっきょんな

vol.73

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

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Columnvol.73の表紙のひと

専門・認定・特定看護師

今回の表紙は高松赤十字病院の専門・認定・特定看護師です。それぞれ資格を取得し、特定の専門分野においてより高い水準の知識及び技術を備えた看護のスペシャリストです。この春から新しくユニフォームを作成しました。パープルにワインレッドのポイントがかっこ良いデザインで、背中にCNS(専門看護師)・CN(認定看護師)・特定看護師の文字が輝いています。装いも新たに、これからも安全で質の高い看護を続けていきます!