さぬきの健康と元気をサポートする高松日赤だより

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病院のこと働く人のこと

女性のライフステージと婦人科疾患(月経トラブル・更年期障害・婦人科腫瘍・骨盤臓器脱)

産婦人科の役割は、周産期のケアだけではありません。月経が始まったばかりの10歳前後から90代の老年期まで、各世代の女性の心身トラブルを総合的に診療します。

女性の健康とホルモンの関係


体の働きを調整するさまざまなホルモンの中で、卵巣でつくられるものを「女性ホルモン」と総称します。「エストロゲン」「プロゲステロン」の2種類があり、妊娠・出産機能を支える役割を果たします。生理前のむくみや月経前症候群などの不調は、ホルモンバランスが変動している影響です。ホルモンの分泌には、脳が深くかかわっています。脳は女性ホルモンのバランスを整え、卵巣に適切な分泌を促す「司令塔」です。ストレスや体調の乱れによって女性ホルモンを抑制する司令が出ると、月経トラブルなどの原因に。閉経を迎えると、脳が司令を出しているのに卵巣からホルモンが分泌されず、エストロゲンが大きく減少。脳の司令とホルモン量のギャップに体が混乱をきたし、更年期のさまざまな不調を引き起こします。

月経トラブル~生理が来ない・生理不順・経血が多い・生理痛が強い・PMS(月経前症候群)がしんどい~

かつては「生理痛や生理の悩みは我慢するもの」という時代でしたが、寿命が長くなり子どもを持たない人も増えて生涯の月経回数が10倍増ともいわれる現代は、生理のトラブルを放置すると健康上のリスクが高まってしまいます。プレコンセプションケアの観点からも、「こんなことで受診してもいいのだろうか…」と悩まず、早めに婦人科へ相談しましょう。 

PMSや生理による不調が日常生活に大きな影響を及ぼし、「出席・出勤はしていても充分なパフォーマンスが発揮できていない」状態(プレゼンティーイズム)に陥っている人は、小学生から大人までたくさんいます。生理中のストレス軽減だけでなく生活サイクル全体を健やかに守れるよう、ピルをはじめとするホルモン剤やサプリメントなど複数の選択肢の中から、患者さん自身が自分に合った薬の種類・服用スタイルを選択していきます。生活環境の変化や加齢とともに、薬が合わなくなることも少なくありませんから、できるだけ同じ医師に長く診てもらえるのが理想的です。

プレコンセプションケアって?

プレ(前)+コンセプション(受胎)
若い男女が将来の健康や子どもを持つ可能性を考慮して、今の生活に向き合うことを指します。まだ「子どもを持つ」という選択に実感がない若い世代にこそ重要な、未来の人生を守るために取り組んでほしい体調管理です。

プレコンセプションケアセルフチェックリスト(女性用)
 □適正体重(BMI18.5~25.0)をキープする
 □禁煙している・受動喫煙も避ける
 □1日3食バランスよく食べる
 □1日60分以上の運動や筋トレをする
 □危険ドラッグや有害な薬を避ける
 □HPVや風しんなどの感染症予防(ワクチン接種)をする
 □ストレスを溜め込まず相談できる大人(専門家)がいる
 □月経トラブルを放置せず婦人科に相談する
 □将来のライフプランを考える
 □パートナーと一緒に健康管理をする

更年期障害~疲れやすい・肩こり・眠れない・関節が動かしにくい・骨粗しょう症~

卵巣の機能は年齢とともに低下していきます。月経が1年以上止まっていると確認できた時点から1年前を遡って「閉経」とするのが一般的。個人差が大きいものの、日本人女性は50歳前後で閉経する人が多いとされます。

閉経を軸として前後10年間を「更年期」と呼び、女性ホルモン(エストロゲン)の低下と、加齢による心身の変化・家庭や職場などの社会的要因などが複合的に影響して、さまざまな症状が現れやすくなります。日常生活に支障が出るほど重い症状が「更年期障害」。更年期はいつか終わりがくるものですから、約10年をうまく乗り切って楽しく日々を過ごせるための治療を行います。

更年期障害の代表的な症状としてよく挙げられる「ホットフラッシュ(急なほてり・のぼせ)」や骨粗しょう症だけでなく、「疲れやすい」「肩こりがひどい」「眠れない」「関節が動かしにくい」など一見すると更年期とは結びつきにくい症状も、意外とよくみられます。

甲状腺の病気やうつなど、同じ症状がみられる他の病気の可能性を十分検討した上で、それらに該当しない場合は更年期障害が疑われます。漢方・ホルモン剤・抗うつ薬などの薬物療法を中心に、その人に合う治療を見つけていきます。早期治療で重症化する前に改善も期待できるため、少しでも気になる症状が現れたら、気軽に婦人科を受診しましょう。



婦人科腫瘍~子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮がん・卵巣がんなど~


子宮・卵巣周辺にできる腫瘍には、特に治療を必要としない良性のものから、手術で切除が必要な悪性腫瘍まで、さまざまな種類があります。当院では低侵襲なロボット手術を活用するとともに、悪性腫瘍などに対しては多診療科が連携して効果的な集学的治療を行っています。 治療の際は、高度生殖医療センターを中心に妊娠・出産の可能性を守る選択肢もサポートします。


良性

子宮筋腫
30~40代女性の3割前後にみられる良性腫瘍。月経量が異常に多い・腰痛・頻尿・不妊症などの症状がみられる。多くの場合は経過観察で十分だが、サイズが大きい・大きくなってくる場合は、ホルモン剤による薬物療法や手術療法を検討する。

卵巣腫瘍
卵巣に液体がたまったり硬い塊ができて大きく腫れた状態。ホルモン周期の影響で時間の経過とともに消えることもあれば、がん化するものもある。4~6センチを超えると破裂や捻転のリスクが高くなるため、手術を検討する。

悪性

子宮がん
胎児を育てる「子宮体」部にできるものと、産道の一部になる「子宮頸」部にできるがんがある。子宮頸がんは30~40代に多く、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因で、ワクチンで予防が期待できる。子宮体がんは女性ホルモンの影響やがんに関連する遺伝子の異常が原因とされ、特に更年期や閉経後の不正出血には要注意。

卵巣がん

初期は無症状だが、進行すると腫瘍が大きくなったり、腹水がたまる・お腹が張る・下腹部が痛い・頻尿などの症状が出てくる。手術で卵巣・卵管・子宮などを切除することが多いが、将来の妊娠出産を希望する場合は、できるだけ温存を試みることもある。
子宮・膀胱・直腸などが下がる・体外に出てくる

骨盤臓器脱~子宮・膀胱・直腸などが下がる・体外に出てくる~

寿命が長くなるにつれ、閉経後の人生も長くなってきました。加齢や出産によって骨盤の底を支える筋肉や靱帯が緩み、子宮・膀胱・直腸などの「骨盤臓器」が下がってきたり体外に出てしまうのが「骨盤臓器脱」。薬では治せず、手術や器具を使った対症療法が中心となります。

骨盤底筋を鍛えよう!

①仰向けの状態や椅子に腰かけた姿勢をとる
②おなかには力を入れない
③肛門・腟・尿道のあたりだけを5秒間ギュッと締めてから緩める
④締める・緩めるを5分間繰り返す


産婦人科部長 新田 絵美子(にったえみこ)
日本専門医機構認定産婦人科専門医
日本産科婦人科学会認定産婦人科指導医
日本周産期・新生児医学会 周産期専門医(母体・胎児)・指導医
日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医・指導医


大学時代はバレーボール部でしたが、働き始めるといつの間にか筋肉が脂肪に…。昨年12月から筋トレとウォーキングに励み、7階の病棟まで階段で上がる日課のおかげで、歩くのが苦にならなくなってきました。目標は「嫌いにならない程度に楽しく続ける」こと!


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表紙

なんがでっきょんな

vol.78

最新号

「高松日赤だより なんがでっきょんな」は、患者の皆さんに高松赤十字病院のことを知っていただくために、季刊発行する広報誌です。季節に合わせた特集や役立つ情報を掲載いたします。冊子版は、高松赤十字病院の本館1階の③番窓口前に設置していますので、ご自由にお持ち帰りください。左記画像をクリックすると、PDFでご覧になることもできます。

Take Free!

Columnvol.78の表紙のひと

初期研修医

今回の表紙は令和8年4月に入職した10名の研修医の先生方です。明るく元気な印象の先生が多く、また6名が女性で、久しぶりに女性が多い年になりました。撮影当日はまるでモデルのように自然なポーズを決めてくれる先生もいて、終始笑顔が絶えず、和やかな雰囲気の中で進めることができました。これから様々な診療科で経験を積みながら成長していく先生方の活躍を温かく見守っていただければと思います。