肝胆膵外科の最新情報
~新体制で挑む肝がん治療~
消化器外科の中でも肝臓・胆のう・膵臓にかかわる分野を「肝胆膵外科」と呼びます。 当院では昨夏から影山詔一医師を中心とする新体制で、他科とも連携しながら、患者さんのQOL(生活の質)を守る柔軟な治療に取り組んでいます。
臨床と研究の両輪で磨いたキャリア
私は高知県生まれで、獣医だった祖母・父や循環器系の医師だった叔父の影響を受け、子ども心に「体の仕組みを深く知る仕事は面白そうだ」と思ったことを覚えています。高校時代は医学部を目指す同級生が多かったこともあり、私も自然と医師の道をイメージするようになりました。
2004年に京都大学医学部を卒業。2年かけて複数の診療科を1~2カ月ずつ経験する研修制度「スーパーローテーション」がちょうど始まった世代に当たります。京都桂病院での初期研修中、消化器外科の先生方が緊急時に全体を見ながら動いているのを目の当たりにして「頼りになる」と思ったのが、消化器外科を目指した直接のきっかけです。後期研修を受けた島根県立中央病院は症例数が圧倒的に多い病院で、専門医を目指すには十分すぎるほどの経験を積むことができました。
京都大学医学研究科で「小動物の肝移植」をテーマに学位を取得し、アメリカで5年間の研究生活中に、マウスやラットの肝移植を数千例経験。当時マウスの肝移植ができるのは、私を含めて世界で数人しかいなかったと聞いています。帰国後は公立小浜病院(福井県)を経て、2021年から京都大学医学部附属病院の肝胆膵移植外科へ。25年夏、第一消化器外科副部長として高松赤十字病院に着任しました。
院内外の信頼関係を築き患者さんを支える架け橋に
肝胆膵分野の手術はほぼ全般できますが、京大病院ではもっぱら肝移植手術を担当していました。たとえ重度の肝硬変でも、ドナーが見つかれば移植という選択肢があり社会復帰が可能です。高松赤十字病院では移植手術を行っていませんが、移植ができそうな患者さんが希望される場合は、外部との架け橋になれるのではないかと思います。
地方都市における肝胆膵外科の安全・安心を担うのも、私の目標の一つです。消化器外科医自体が減少しており、その中でも肝胆膵外科医はさらに少ない。しかし、がんの罹患率でみると肝胆膵のがんの割合は高く、他のがんに比べて治りにくく予後が悪い上に、複雑な症例も多いんです。医師としてのやりがいは非常に大きい分野といえるでしょう。
当院は専門医をはじめとする十分な医療体制が揃っている一方で、大学病院ほどは規模が大きくないため、隅々まで目が届き小回りの利くスケールが私にはぴったり。一定の実績を達成できれば当院も高度医療人材の修練施設認定を受けられますから、若い医師たちに肝胆膵外科の魅力を伝えられる環境をつくりたいですね。
また、大切なのは患者さんや地域との信頼関係。近隣病院にしっかり足を運んで、顔のわかる関係を育みたい。互いに垣根をつくらず、一丸となって地域の患者さんに対応し、地域の肝胆膵分野をみんなで盛り上げていきたいと思っています。
当院の肝胆膵外科診療
当院の消化器外科は7人体制。肝胆膵の手術は影山医師をメインに消化器外科医2~3人がサポートに入り、意見交換しつつ一緒に治療に向き合います。内科医の診断時に「手術が必要かもしれない」と判断したらすぐに連携するなど、消化器内科や放射線科をはじめとする他科とのチームワークも強みの一つ。高い総合力で患者さんの治療を支えます。
肝臓の役割
「たんぱく質などの栄養を合成・貯蔵」「有害物質の解毒と排出」「脂肪の消化を助ける胆汁の生成」という役割を持ち、切除しても再生する唯一の臓器。病気になっても自覚症状が出にくい。
胆のうの役割
肝臓・膵臓・十二指腸と管でつながっていて、肝臓でつくられた胆汁を一時的に溜めておく臓器。食べ物が十二指腸にたどりつくと、胆のうから胆汁が押し出され、脂肪の消化を助ける。全部摘出しても生活に支障はない。
膵臓の役割
胃の後ろに位置し、「食べ物を消化する膵液をつくる」「血糖値を調節するインスリンなどのホルモンをつくる」という分泌機能を担う。膵臓をすべて失うと栄養消化と血糖値のコントロールも失われるため、薬やインスリン注射による補助が必要
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